村上春樹「かえるくん、東京を救う」論― すべては「混濁」へと戻っていく―

村上春樹「かえるくん、東京を救う」論 ―すべては「混濁」へと戻っていく すべては「混濁」へと戻っていく―

張宜樺
国立台中科技大学 応用日本語学科 助理教授

要旨
  二〇〇〇年二月に出版された『神の子どもたちはみな踊る』には、村上春樹が阪神大震災を背景に創作した六作品が収録されている。その中でも、五つ目の作品「かえるくん、東京を救う」は、突如「かえるくん」を名乗る蛙が地下に眠る「みみずくん」と闘って地震を鎮めるというふうに、寓意性に富んでいて、他の作品とは一線を画している。
  村上春樹は本作について、「最初の一行」以外は「なりゆき」に任せて書き終えたと触れているが、先行研究は数篇に限られている。論者は敢えて、村上春樹が作り上げた寓意性に富んだ本作のテクストを順を追って丹念に読み解くことで村上文学における短編小説の一側面を読み解いていきたいと考える。

キーワード:村上春樹、神の子どもたちはみな踊る、「かえるくん、東京を救う」